学生ローンでアメリカ留学はおすすめしない。借入のリスクを考えよう
留学の中でもアメリカを希望する人は多いですが、アメリカは日本以上に学費が高額になっており、留学するには莫大な費用が掛る事になるので、どのようにお金を用意すればよいかよく考えなければなりません。
もしこの費用をローンで用意するということになると教育ローンかフリーローンということになりますが、高額になるので返済の負担が大きくのしかかって来るため、リスクが大きすぎる問題が有ります。
ですから最もお勧め出来るのは、返済の必要が無い給付型奨学金を利用することです。
学生によってはごく短期間語学留学と称して実質遊び感覚で行く場合も有りますが、これでは帰国しても評価の対象にはならないので注意しましょう。
何処の国でも学費が高騰している!特にアメリカは高額で問題が多い
日本の学校の学費も最近高くなってきていますが、更に高騰しているのがアメリカで、アメリカでは奨学金も充実はしていますが、多くの学生は教育ローンを利用しており卒業時は巨額の負債を抱えてしまいます。
アメリカは以前に比べて減って来てはいますが、まだまだ日本人も多数留学を希望しています。しかし高い教育費のために、アメリカへの留学には莫大なお金を用意する必要があります。
ですからアメリカへの留学を考える時には、どのようにしてこの莫大な費用を用意すれば良いのかについて、勉学とは別に、十分検討しておくことが必要です。
アメリカの学費は非常に高額で多くの学生がローンを抱えて卒業する
最近の日本では国立大学でもかなり高額の授業料がかかるようになっており、学業を続けるのに奨学金や教育ローンを利用している学生が増えていますが、これは何も日本に限った話ではありません。
特に西側先進諸国では日本と同じ傾向にあり、留学先として人気の高いアメリカも同じです。
アメリカの年間授業料は次のような推移で伸び続けていて、今後さらに高額化する可能性も有ります。円は$1=¥108で計算しています。
大学 | 1980年 | 2017年 |
---|---|---|
州立大学 | $2100(¥226800) | $9400(¥1015200) |
私立大学 | $9500(¥1026000) | $32000(¥3456000) |
このようにアメリカの大学と言うのは、日本の国立大学や私立大学と比べても、かなり高額の授業料ががかかることが分ります。
このため現地の学生は、奨学金や教育ローンを利用せざるを得ず、卒業する頃には巨額の負債を背負ってしまい、年金をもらう年齢になってもまだ、返済を続けているというような人も多いようです。
留学するには莫大な費用が掛かる
しかも、これは授業料だけの話ですから、留学するとなると、旅費や現地での生活費も掛ってくることになり、こちらのお金も何らかの形で用意しなければならず、卒業までには莫大なお金が必要になります。
大金持ちなら、微々たるものかもしれませんが、たとえば国内の大学にも奨学金や教育ローンを利用していたという家庭ではこれだけのお金を用意することはそう簡単ではないでしょう。
現在の日本では、デフレの後で景気は上向いていますが、収入はひと頃に比べかなり減ってしまっていますから、アメリカ留学はそう簡単にできるものではないのです。
どのようにお金を調達するのかよく考えなければならない
しかし、学生の中には国内だけでは学業が進まず、留学が必要という人もいて、アメリカ留学を希望する場合も多いでしょう。
そういった場合、自己資金が無いとすれば、何らかの形で借入れが必要になりますが、利用出来る調達方法は次のようなものが考えられます。
- 奨学金
- ローン
基本的に言えば、国内の学校に通う場合と変わりはないのですが、留学する前にどのように利用すれば良いのかよく考えておく必要が有ります。
日本は先進国で教育水準も高く、大概の勉強は国内で十分可能です。留学が必要なのは、国内で勉強できる水準を超えて、非常に専門的で最先端の勉強や研究がしたいという場合です。ですから留学を考える場合には、その留学が本当に必要なものなのかよく考えるべきです。莫大なお金をかけても必要なのかどうか周囲にも相談してみて下さい。
アメリカ留学費用をローンで賄うのはリスクが大きすぎる!
自己資金が有ればよいですが、そういうものが無ければ、何らかのローンの利用が必要になり、こういった場合には教育用に融資している教育ローンか、何にでも利用出来るフリーローンということになります。
ただし借入れは高額になるはずですから、高額利用が可能で、金利も比較的低い教育ローンしか選択肢は無くなるでしょう。
しかし、先程も説明したように学費は非常に巨額になるため、借入れも同じように巨額になり、返済時の負担を考えると、ローンだけでアメリカ留学の費用を賄うのは大きなリスクを背負う事に繋がるでしょう。
留学費用に利用出来るローンとは
では留学費用に利用出来るローンにはどのようなものが有るのでしょうか。旅費などは別途考える必要はありますが、現地での生活費を含めて次のようなローンが考えられます。
- 教育ローン
- フリーローン
ただし学生本人が借りる場合には、収入などの関係から返済能力なしということになるので、フリーローンの一種である学生ローンぐらいしかありません。
それも留学するとなると返済が怪しくなるので、借入れできる可能性は少ないでしょう。
したがって、この場合借入れできるのは親などの保護者ということになります。
高額の借入は教育ローンがお勧め
保護者が借りるのであれば、収入次第でフリーローンでもそれなりの高額利用は可能になりますが、金利等を考えればローンを利用する場合、教育ローンがもっともお勧めと言えるでしょう。
この教育ローンは銀行のものや信販会社のものなどがありますが、やはり借入れが高額になるので、より金利の低い銀行のものの利用を考えましょう。
保護者にあまり大きな収入が無いというような場合には、国の機関である日本政策金融公庫と言うところでも教育ローンを取り扱っているので、そちらに行って相談してみることも考えてみて下さい。
またこういった教育ローンの返済は基本的には借入れ翌月から始まりますが、金融機関によっては学生が在学中は利息だけにできる場合も有ります。
こういった教育ローンの場合元金の返済は学生が卒業後に保護者と合わせる形か、あるいは自分自身で返済する事を念頭に提供されているので、保護者の負担を減らしたい場合には利用を考えてみましょう。
返済の負担が大きくのしかかる為ローンだけで賄うのはリスクが大きい
ただし、例えばアメリカの私立大学に4年間通わせた場合先ほど示した金額の4倍の負担になる訳ですから、返済の負担は非常に大きくなってしまいます。
したがって、留学費用にもよりますが、全額をローンで賄うのはリスクがあまりにも大きいと考えたほうが無難です。
留学してきたと言えば、ハクは付くかもしれませんが、その後返済できずに自己破産しなければならないとすれば、何のために留学したのか分りません。
ですから留学する場合にはローン以外にもお金の調達先を考えておいたほうが無難です。
教育ローンは本文で説明しているように、借入れ翌月から返済を始めなければなりません。ですから借入れの前提になるのは、安定した収入が有るということになります。学生の場合アルバイトをしていたとしても、とても会社員のような安定収入は望めません。したがって教育ローンの審査通過が難しい訳です。ですから例えば既に就職している人が、夜間に勉強するためというような場合に限れば学生でも教育ローンを利用できいる可能性が有ります。【関連記事】
アメリカ留学するのであれば給付型の奨学金を狙うべき!
このようにアメリカ留学をローンだけで行うのはあまり現実的とは言えません。そこで検討したいのが奨学金の利用です。奨学金は国の提供しているものや、アメリカ政府、民間企業などのものがあります。
ただし奨学金にはローンと同じように後々返済が必要になる貸与型のものと、返済の必要のない給付型のものの2種類あって、貸与型のものを利用した場合、教育ローンと同じリスクが有るので要注意です。
したがって、奨学金を利用する場合には、貸与型ではなくて給付型のものを利用することが重要です。
もちろん利用する場合には、貸与型よりも給付型のほうが条件は厳しくなるので、自分が条件をクリアしているかどうかを事前に確認しておくことが必要です。
留学向けの奨学金の利用を考えてみよう
教育ローンだけでは莫大な負債を背負うことが分りました。ですから留学費用は教育ローンの他、やはり奨学金も併用して用意することを考えてみるべきでしょう。
留学に利用出来る奨学金には次のようなものが有ります。
- 日本の国が提供する奨学金
- 都道府県の奨学金
- 民間企業の奨学金
- 現地国の政府提供する奨学金
全てが利用できるわけではありませんし、成績も関係してくるので、自分がどのような奨学金の利用ができるかは、調べてみる必要が有ります。
例えば非常に優秀な学生であれば、現地政府の提供している奨学金が利用できて、生活費などを除けば、留学費用を心配する必要は無くなります。
貸与型ではローンと同じようなリスクが有る
比較的簡単に利用出来る奨学金であれば、国内の学校に通う場合と同じで国が提供している奨学金が有ります。
留学する場合も給付型のものと貸与型のものがそれぞれいくつか提供されているので、利用できそうなものを申込めばよいのですが、貸与型と言うのは卒業後に返済しなければならなりません。
このため貸与型は奨学金とは言っていますが、正確に言えば単なる教育ローンです。ですから別途教育ローンも利用しているという場合は、返済する金額が増えるだけですから、あまりお勧めする事はできません。
奨学金にも利用することにリスクが伴うものもあるのです。
本来は奨学金で学生がリスクを負うなどということは有ってはならないのですが、日本の奨学金は根本的に駄目制度ですから注意しなければなりません。
奨学金を利用するのであれば給付型の利用を考えよう
ですから奨学金を利用する場合には、できれば給付型のものを利用するようにしましょう。
国の奨学金は国内の学校に行く場合、給付型の奨学金は有るにはあっても飾りで殆どは貸与型になります。
しかし留学向けの給付型奨学金は利用出来る可能性はそれなりにあります。
また居住している地方自治体が留学に対して用意している奨学金や民間企業の奨学金も基本は給付型なので、良く調べたうえで利用を考えてみましょう。
留学に行く前には、たいていの場合国内の大学などに通っているものですが、学生によっては、そこでも貸与型の奨学金や教育ローンを利用している場合もあるでしょう。そういう場合留学でもさらに借入が増えれば卒業後の返済はかなり厳しくなることが予想されます。ですから自分の負債のことも良く考えてから留学を検討しなければなりません。
留学内容によっては評価されない!短期留学はお勧めできない
留学と言うのは国内だけでは十分な勉強や研究ができない場合に行うもので、まちがっても遊び感覚で高いお金を借りてまで行くべきものではありません。
最近では比較的お金がかからない、語学留学などと称して短期の留学をしている人もよく見掛けます。
しかしそんな留学ではたいして語学が身に付くとは思えませんし、就職などの際にも評価の対象にはなりません。
純粋に語学の勉強が必要と言うのであれば、そのお金を使って、海外を巡ってきた方が、はるかに有意義な経験ができるのではないでしょうか。またそのほうが評価はともかく企業受けは良いはずです。
留学は勉強するために行くもので遊び感覚ではいけない
ここで留学についてよく考えておきましょう。
留学は勉強や研究をしに行くものであって、海外旅行ではありません。
学生の中にはこのあたりをはき違えていて、現地に行けば、たとえ遊んでいたとしても見分を広げられて、得るものがたくさんあるだろうと考えて留学を選ぶ場合が有ります。
確かに、留学すれば日本とは違った文化に触れることができますから、見分を広げることはできるでしょう。しかしそれは莫大な費用を掛けなくても、短期間の旅行で感じることができるものです。
お金が有り余っているというなら、好きなだけ長期間行っていても構いませんが、借入れしなければいけないような人は、敢えてする必要は無いでしょう。
遊び感覚の留学など真の意味の留学では無いのです。
短期留学では評価されないことも有る
また就職に有利になるから留学するという人もいます。こういう人の場合、大概は1年以内の短期留学で名目は語学留学です。
しかしそういう留学は残念ながら企業では評価の対象になりません。企業も馬鹿ではありませんから、留学してきたということを評価するのではなくて、留学した結果何を身に付けたかを見ています。
短期留学などは結局遊び感覚の留学にしか見られませんから、評価の対象にはならないばかりか、企業によってはマイナスの評価に繋がることも無いとは言えないのです。
莫大なお金をかけて評価が下がったのでは、何のための留学なのか分りませんね。
短期留学なら旅行と言う形で海外を巡ってくればよい
ただし、海外に行ってくること自体に意味が無い訳ではありません。例えば、卒業旅行などでは出来ればまったく違った文化圏であるアメリカなどに行ってくることは大変有意義でしょう。
旅行であれば、学生自身で学生ローンを利用すれば行ってくることができるはずで、返済も長期間大きな負担を背負う必要はなくなります。
本文で説明しているように留学というのは大変おカネがかかるものです。しかも日本の教育と言うのは大変様々な分野を満たしており、かなり高度な内容でも国内で勉強できる環境が有ります。もし借入れしての留学を考えているのであれば、莫大な負債を背負う前に、日本国内をよく探して、もう一度日本を利用することを考えてみてはいかがでしょうか。
ここでアメリカ留学のリスクについて纏めておきます。
- アメリカでは教育費が高騰して多くの学生が巨額の負債を抱えて卒業している
- アメリカへの留学費用をローンで賄うのは返済の負担でのリスクが大きすぎる
- アメリカに留学するのであれば給付型の奨学金を狙うべき
- 短期留学は評価されないので勧められない
留学したい場合は、莫大な費用に見合うものなのかどうか、保護者も交え必要性から話し合って、それでもなお行く価値が有ると思えるかどうか考えてみましょう。