学生がローンで負債を抱えたときの問題とは?多重債務者にもなり得る
学生だけではありませんがローンと言うのは借りたら返さなければなりません。しかし返済能力によっては、そこに問題が生じる事もあり、返済できなければ、大きな問題に発展してしまいます。
もし借りたお金を返せなくなったら、人によっては他からの借入れを行ってそれを返済に回そうという人がいますが、その借入れによって負債は膨らみ、翌月は返済が2つになり、さらに苦しくなる事も有ります。
しかしこういった事は長くは続けられませんから、その内借入れできるところが無くなり自己破産するか、闇金を利用して強引な取り立てに追われる事にもなりかねません。
ローンの借入時は、予め自分の返済能力を把握し、しっかりした返済計画を立てるようにしましょう。
ローンは借りたら返さなければならない!そこに問題が生じる?
ローンと言うのは借りるものですから、自分のものではありません。いつかはすべて返済しなければならないものです。実際に融資を受けたら翌月以降返済をしていく必要が有るわけです。
返済は予め決められた返済方式に沿って行われる事になりますが、実際に返済して行けるかどうかは、この返済方式が大きく左右することになり、同じ金額を借りたとしても返済が難しくなることもあります。
もし返済方式によって計算される返済額が自分の返済能力を超えるような事になって、返済ができなければ、金融業者は利益を上げることができず、以後返済できるまで大きな問題として扱われることになります。
ローンは借りたら翌月以降返済する必要が有る
ローンはお金に困った時には大変便利で、学生にも有り難いものですが、安易な気持ちで利用してしまうと、自分を窮地に追い詰めてしまう可能性も有るもので、利用には細心の注意が必要です。
金融業者と言うのは何も慈善事業でお金を貸している訳ではなくて、資本主義社会における企業ですから、やはり他の業界の企業と同じで、営利を追求していることに変わりは有りません。
お金を借りたら借入れした元金に加えて利息を支払いますが、この利息が金融業者の利益の元です。
金融業者は、銀行なら預金者からお金を預かって、そのお金を融資に利用します。また貸金業者なら銀行からお金を借りてそれを融資に利用します。
このため銀行も預金者に利息を支払いますし、貸金業者は銀行に利息を支払います。
ですから利益になるのは、融資を利用した人から支払ってもらう利息と、お金を預かったか或は借りた時に支払う利息との差分ということになります。
借入れする人は、金融業者にはお金がたくさんあるだろうと思いがちですが、それは商売を行う上での商品であって、利益と言うのはそんなに大きな額では無いのです。
このため金融業者の方も月々利益を上げるためには、融資した翌月から返済時に利息を支払ってもらわなければ、会社として回って行かなくなってしまいます。
こういう仕掛けですからローンを借りたら翌月以降返済して行かなければならなくなる訳です。
返済方式が返済の可能性を左右する
ではこの返済する金額はどのように決まるのでしょうか。
学生の場合収入はアルバイトというのが普通ですから、常に安定して一定額の収入が入ってくるということはあまりありませんから、この金額によっては、返済できなくなる月が出て来てもおかしくありません。
月々の返済金額を知るには、そのローンの返済方式を調べることが必要です。学生ローンで採用されている返済方式としては次のようなものが有ります。
返済方式 | 解説 |
---|---|
元金自由返済方式 | 月々利息分は必ず支払いが必要だが元金分は返済期限までなら何時返済しても構わない返済方式で学生ローン以外ではあまり採用例が無い方式 |
残高スライドリボルビング返済方式 | 月々借入残高を段階的に区切って各段階で利息分と元金返済分の合計が一定になる返済方式 |
元利均等返済方式 | 希望する返済回数で月々利息分と元金返済分の合計が一定になる返済方式 |
元金均等返済方式 | 希望する返済回数で元金返済分を均等割りした金額と利息分の合計を返済額とする返済方式 |
一括返済方式 | 利息と元金を一括で返済する方式 |
多くの学生ローンはこの内、元金自由返済方式を採用しており、収入が少なくなってしまった月には利息分だけ支払えば、元金分の返済は先延ばしできるようになっています。
ただし、この方式でもあまり先延ばししすぎると、返済期限近くになって、毎月高額の返済をしなければならなくなることも有るので、安心はできません。
返済できなければ大きな問題になる
当然ですが、先ほど説明したように返済ができなければ、金融業者の方は利益が得られませんから、業績にも影響するため、大きな問題となってしまいます。
もし返済が行われなければ、業者側はまず督促状を送ってきて、入金を促します。
それでも入金の応じなければ、回収担当から連絡が入るようになります。
もし長期に返済できなければ債務整理を行わなければならなくなり、自己破産と言う事態にもつながることになるので、返済できないというのはかなり深刻な問題と捉えなければなりません。
一般向けのローンというのは会社員などの安定した収入の人を前提に貸していますから、学生の場合審査通過は厳しくなります。しかし学生ローンの場合には、収入は少なくても、月々入っていれば学生証だけで審査が通り、学生には大変借り易いローンと言えるでしょう。
借りたお金が返せなくなった時の対処とは?別からの借入は良くない
しかし実際の場面では返済に行き詰るということはそれほど珍しいことではありません。こういう場合一部の人は返済するために、また新たな業者から借入れをしてしまうことを考えることがあります。
確かに、別の業者から借入れしてお金を作れば、その時点の返済は可能かもしれませんが、新たな借入れに対しても利息を支払う必要が有り負債は膨らんでしまいます。
また返済はこれまでの分に合わせて、新たな借り先に対しても行わなければならないので翌月以降、更に苦しくなってしまうかもしれません。
返せなくなったら借りれば良いと考えている人がいる
説明した通り、学生ローンの場合、月々の返済額を調整できることが多く、返済に行き詰ってしまうということは、一般向けのものよりは少ないはずですが、それでも絶対に無いとは言えません。
ではもし返済できなくなった時は、自分ならどうするか考えてみましょう。
その場合には、学生ですから、親などに相談しようと考える人も多いはずですが、そうは考えない人も少なくないでしょう。
中には学生ローンはかなり審査が緩くなっているので、他の業者から新たに借入れをして、返済に回せばよいと思っている人もいる筈です。
別から借りれば返済はできるが負債は膨らむことになる
もちろん借入れができれば、お金が入る訳ですから、その月の返済は出来るようになるでしょう。
しかしよく考えてみて下さい。もし返済期限に近くなっていて、月々10万円の返済が必要で10万円を別業者から借りたら、それも借入れですから利息を支払う必要が有ります。
つまり別業者への返済は10万円では済まないということです。ですから10万円借りたことで返済はできても、トータルの負債は増えたということになる訳です。
翌月は2つ分返済が必要になりますます厳しくなってしまう
翌月になると、今度は新たに借入れした分を含めて返済は2件になります。
その間に大きな収入でも入ればよいかも知れませんが、そんなに都合よくいくものではありませんから、返済にはまたまた四苦八苦するはずです。
こうなると、2つの借入れの返済で、1社目から新たに借りたお金を2社目に返済して、2社目から新たに借りたお金を1社目の返済に充てるというような自転車操業的に利用する事になりかねません。
そうなると徐々に利息分がかさんで負債は増えて行きますから、その内にはその業者から借入れできる上限に達して、借りられなくなってしまいます。
そこでさらに3社目から借りると言うよに、負債は雪だるま式に増えて行く可能性も出てきます。
貸金業者の中には法律に基づいて業者登録を行っている正規業者の他にも、法律無視で融資を行っている非正規業者である闇金があり、高金利で強引な取り立てを行っています。学生ローンでも返済に困ると、こういった業者から借入れして返済に回そうという人も出てきますが、闇金を利用してしまうとお金をむしり取られるだけですから絶対に利用してはいけません。
返済のための借入はそう長くは続かない!すぐに借りられなくなる
こういった返済のための借入れが成功する条件は、いつまでも借り続ける事ができる場合です。しかし実際は貸金業者が融資できる金額と言うのは法的な上限が決められている為、それ以上の借入れはできません。
また業者の方も、あまり多くの業者から融資を受けている場合には、返済の可能性を疑うようになるため、審査通過は難しくなり、新たな借り先を作ることは出来なくなってしまいます。
借入れできる先が無くなってしまうと、それ以上の返済は難しくなりますから、この時点でたとえ学生であっても多重債務者ということになります。
融資には法的な上限が決められている
このように必要になったら利用する業者を増やしていけば、いつまでも借入れし続けて、返済も回っていきますから、負債はどんどん増えて行きますが、問題になるようなことは回避できます。
実際にはこの時点でも多重債務を背負っているわけですが、表には出てきませんから、一見問題ないように感じられる訳です。
しかし、世の中そんなことができる訳はないのです。誰が考えても破綻するのは目に見えています。
特に学生の場合、破綻はすぐにやってきます。それは貸金業者は法律に則った融資しかできないからです。
貸金業者の場合、貸金業法というものが有ってその規定に基づいて融資を行っています。そしてこの法律には直近の改正で融資できる上限額が決められました。
この規定は総量規制と呼ばれるもので、融資できる上限は年収の3分の1までとされています。したがって例えば500万円借りる為には年収1500万円無ければ無理だということです。
ただしこれでは年収が少ない人にはほとんど借入れできないということになってしまう為、以下のように2つの例外規定が付けられています。
- 無収入でも専業主婦の場合には配偶者の了解が有れば配偶者の借入れと合計して配偶者の年収の3分の1までは融資できる
- 年収に関係なく1社あたり50万円まで全社合計で100万円までは融資できる
学生の場合主婦ということはあまりなく、収入はアルバイトですから、そう高額にはなりません。したがって殆どの学生は後者の規定が当てはまるはずです。
学生ローンの融資上限が50万円になっているのも、この規定が有るためです。
したがって徐々に利用業者を増やしていくにしても、最大でも100万円までしか融資の利用はできない訳です。
借入れ件数が多いと審査に通らなくなることも有る
またもう一つ明確な規定が有る訳ではありませんが、貸金業者と言うのは、他社の利用というものを嫌います。
これは返済能力が割かれる事によって、返済が滞る可能性が高まるからです。
したがって利用する業者が増えれば増える程、審査は厳しくなっていくことが考えられます。
学生ローンの場合2社目程度なら審査に通すことが有るにしても3社目以降は、そう簡単には審査通過はできないでしょう。
学生ローンの説明を読むと、他社の借入れが有るときは相談してくれと言っていますが、通常は貸さないが、理由次第では融資を考えましょうということです。
このような訳で、安易に複数利用を考えているかもしれませんが、業者は利益に影響するので、そう簡単に貸してくれるわけではないのです。
借入れできなくなったら立派な多重債務者ということになる
このように融資に至るまでには、いくつかの障害が有って、それを乗り越えられなければ、融資を利用することは出来ません。
そうすると、借入れできなくなる可能性も大きいということです。このため、もし希望する借入れができなければ、他の業者への返済が滞る可能性も大きくなります。
この時点で債務が表に出てくることになって、多重債務者と言う事になってしまいます。ここまで行くと、差し押さえなどに進んでしまうか、あるいは弁護士などに依頼して債務整理を行うかどちらかということになるでしょう。
債務整理と言うのは、借り手と貸し手或はそれぞれの代理人、場合によっては裁判所も含めて、返済できなくなった債務をどのように返済して行けばよいのかについて話し合いで決めることです。
最悪の場合には自己破産と言う手段で債務が帳消しになることもあります。
自己破産に限りませんが本文で説明している債務整理を行った場合には、その記録は信用情報内に長期間残ることになり、それが有る間はブラックと言う扱いを受けます。学生の間に債務整理するとその記録は卒業後も残り、社会人になってもローンが利用できなかったりクレジットカードが作れなかったりすることになってしまいます。
返済できなくならないため行う事とは?自分の返済能力を見極める
そこで返済できなくならないようにどうすれば良いのかを考えてみると、まずは自分の返済能力をしっかり把握して、それ以上になってしまう借入れはしないということが重要になります。
また実際に返済して行くにあたって、しっかりした返済計画を立て、それに則って返済して行くことが重要になります。
ただし最も重要なことはお金が必要だからと言って、すぐに借り入れることを考える事ではなく、まずはどうしたら借りなくて済ませられるかを考える事が必要です。
そうすれば負債を負わないで済ますことができるのです。
まずは自分の返済能力を計算して自分の返済能力を把握しよう
では負債が徐々に増えて返済できなくなってしまわないようにするにはどうすれば良いのかを考えてみましょう。
まず把握しておかなければならないのは自分の返済能力を正確に把握することです。
そのためにはまず日頃から自分の収入と支出の管理が行われていなければなりません。
収入は分っても支出は分らないという人は多いのではないかと思います。
そこで月々の収入と支出が分るという前提で話を進めます。
まず、1年程度前からの月々の収入と支出から、月々の収支を計算します。収支とは収入から支出を差し引いたものです。
この収支が自分の月々の余裕というわけです。返済と言うのはそれまで掛っていた支出の他に掛ってくるお金ですから、この余裕の中から支払っていくことになります。
つまり収支と返済額は常に次の関係でなければ、返済して行くことはできないということです。
学生の場合収入が安定していないので、判断は収支が最低になる時を基準に考えておいた方が無難でしょう。
借入れ前に返済計画を立てておこう
もう一つ行っておきたいのは返済計画の立案です。本来はどんな借入れでも返済計画は立てておくべきですが、最近では借入れが簡単にできることから、そういったことを行わない人も多くなってきています。
学生の場合には、時期的に収入が少なくなることも有るので、そういった時期をどのように乗り切るかを予め考えておくことが重要です。
また返済は元金自由返済方式なので、比較的自由ですが、元金の返済を先延ばしすると、後々苦しくなるので、基本は月々元金分も少しづつ返済して行ける計画にすべきです。
このような返済計画を立てておけば、収入が少なくなった時も対応が分るので安心して返済していけるでしょう。
ただし計画通りには行かない場合も有るので、計画が狂ったら、状況に合わせて随時返済できる計画を見直すことが重要です。
そもそも借りないで済ませる事を考えるのが重要
もう一つ重要なのは、借入れを考える前に、まずは借りなくて済ませる方法を考える事です。
学生ローンであれば、学生でも比較的簡単に融資の利用ができ、安易に借入れしてしまう人が増えましたが、そもそも返済に苦しむのはお金を借りるからです。借りなくて済ませられるのであれば、借りないほうが良いのは間違いありません。
たとえば先ほど説明したように支出が管理できていれば、その内容を見直して、不要不急の支出を減らすなど、節約出来る部分が分るようになります。
上手に節約すれば借入れしなくて済ませられるか、そこまでいかなくても、借入れするお金を減らすことができるでしょう。
自分のお金の管理は基本的には家計簿です。毎日収入と支出を記入して行けば自然に自分のお金の管理ができて行きます。ただし最近ではスマホのアプリや、ネット上のサービスが有るので、こういったものを利用すればより簡単で便利に管理できるようになります。
ここで学生がローンで負債を抱えたときの問題について纏めておきます。
- ローンは借りたら返さなければならないもので返済できなければ大きな問題になる
- 返済ができない時に新たな業者から借入れしてしまうと翌月からは返済が増えてさらに苦しくなる
- 新たな借入れはそう度々はできず借りられなくなったところで多重債務者になる
- 返済できなくならないためには自分の返済能力を見極め常に計画的な返済を行うことが重要
学生の場合あまり親に心配をかけるのもどうかと思いますが、最初に返済ができなくなった時点で相談していれば、大きな負債に繋がることも回避できる可能性が高いので、まずは相談することを考えましょう。